イングリッド・バーグマン
Ingrid Bergman
1915年8月29日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。
1982年8月29日(誕生日)、イギリス・ロンドンで死去(乳がん)。享年67歳。
父はスウェーデン人写真家・画家、母はドイツ人。
幼くして両親を失い、叔父の家に引き取られる。
王室演劇学校で学び、19歳の時映画デビュー。
ロベルト・ロッセリーニ監督と不倫の恋に落ち、ハリウッドから一時追放される。
イザベラ・ロッセリーニの母。
「ガス燈」「追想」「オリエント急行殺人事件」でアカデミー賞を受賞した。
イングリッド・バーグマンは、スウェーデン出身の女優であり、その美貌と圧倒的な演技力でハリウッド黄金時代を代表する女優の一人とされている。彼女は自然体の美しさと、幅広い演技力で映画史に残る数々の名作に出演し、アカデミー賞を3回受賞するなど、多くの賞を受けた。バーグマンは、ヨーロッパとアメリカの映画界で成功を収めた稀有な存在であり、そのカリスマ性と演技の深みで観客を魅了し続けた。
イングリッド・バーグマンはスウェーデン・ストックホルムで生まれ、幼い頃に両親を失った。その後、親戚に育てられた彼女は、演技への情熱を追求し、スウェーデン王立ドラマ劇場で演技を学んだ。1935年にスウェーデン映画「Munkbrogreven」で映画デビューを果たし、1936年には「インタルメッツォ」で初の主役を演じた。この作品は彼女の才能を証明し、ハリウッドのプロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックの目に留まるきっかけとなった。
特に有名なのは、1942年の『カサブランカ』でのイルザ・ラント役である。この映画は、ハンフリー・ボガートとの共演で大ヒットし、彼女の名声を不動のものとした。バーグマンの繊細で感情豊かな演技は、彼女のキャリアを象徴するものとなった。
続く1940年代には、『ガス燈』、『白い恐怖』、『聖メリーの鐘』などの作品で次々と成功を収めた。『ガス燈』では、精神的に追い詰められる女性を見事に演じ、アカデミー主演女優賞を受賞。また、アルフレッド・ヒッチコック監督とのコラボレーションもあり、『白い恐怖』や『山羊座のもとに』などで彼女の演技がさらに評価された。
1950年代には、バーグマンはイタリアの映画監督ロベルト・ロッセリーニの映画「ストロンボリ」に出演するためイタリアへ移った。この撮影中にバーグマンとロッセリーニの恋愛関係が始まり、彼女が既婚者であることから大きなスキャンダルとなった。バーグマンはアメリカで非難を浴び、一時期ハリウッドから事実上追放されたが、その後もロッセリーニと数本の映画を共同で製作した。
1960年代には、再びハリウッドに戻り、『追想』でアカデミー賞主演女優賞を受賞。この成功により、再びハリウッドでのキャリアを確立した。その後も『オリエント急行殺人事件』でアカデミー助演女優賞を受賞し、その実力を再確認させる。
晩年には、テレビ映画「ゴルダと呼ばれた女」でイスラエル首相ゴルダ・メイアを演じ、エミー賞を受賞。1982年、彼女は自身の67歳の誕生日に乳がんのため亡くなった。
バーグマンはスウェーデン語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語を流暢に話し、その国際的な魅力が彼女の成功を支えた。
彼女の代表作「ガス燈」では、被害者の女性を繊細に演じ、そのタイトルは心理的虐待の概念「ガスライティング」の語源ともなった。
彼女の娘イザベラ・ロッセリーニも女優として活躍。
イングリッド・バーグマンは、その優雅さ、自然体の演技、そして国際的な成功により、映画史における永遠のアイコンとなった。彼女の映画は今もなお世界中の観客に愛され、彼女の名前は高潔さと情熱の象徴として語り継がれている。
[出演作品]
1932 17歳
Landskamp
1935 20歳
ムンクブローの伯爵 Munkbrogreven
波濤 Bränningar
スウェーデンイェルム家 Swedenhielms
ワルプルギスの夜 Valborgsmässoafton
1936 21歳
日向で På solsidan
間奏曲 Intermezzo
1938 23歳
女の顔 En kvinnas ansikte
ドル Dollar
四人の仲間 Die vier Gesellen
1939 24歳
一夜かぎり En enda natt
別離 Intermezzo: A Love Story
1940 25歳
六月の夜 Juninatten
1941 26歳
4人の息子 Adam Had Four Sons
天国の怒り Rage in Heaven
ジキル博士とハイド氏 Dr. Jekyll and Mr. Hyde
1942 27歳
カサブランカ Casablanca
1943 28歳
アメリカのスウェーデン人 Swedes in America
誰が為に鐘は鳴る For Whom the Bell Tolls
1944 29歳
ガス燈 Gaslight
アカデミー賞主演女優賞
ゴールデン・グローブ賞主演女優賞
1945 30歳
サラトガ本線 Saratoga Trunk
白い恐怖 Spellbound
聖メリーの鐘 The Bells of St. Mary’s
ゴールデン・グローブ賞主演女優賞
1946 31歳
汚名 Notorious
1948 33歳
凱旋門 Arch of Triumph
ジャンヌ・ダーク Joan of Arc
1949 34歳
山羊座のもとに Under Capricorn
1950 35歳
ストロンボリ Stromboli, terra di Dio
1952 37歳
ヨーロッパ一九五一年 Europa ’51
1953 38歳
イングリッド・バーグマン、バーンズにて Med Ingrid Bergman på Bern
われら女性 Siamo Donne
ロッセリーニ家とのひととき Kort möte med familjen Rossellini
1954 39歳
火刑台のジャンヌ・ダルク Giovanna d’Arco al rogo
イタリア旅行 Viaggio in Italia
不安 La Paura
1956 41歳
追想 Anastasia
アカデミー賞主演女優賞
ゴールデン・グローブ賞主演女優賞
恋多き女 Elena et les Hommes
1958 43歳
無分別 Indiscret
六番目の幸福 The Inn of the Sixth Happiness
1961 46歳
さよならをもう一度 Goodbye Again
1964 49歳
訪れ The Visit
黄色いロールス・ロイス The Yellow Rolls-Royce
1967 52歳
刺激 Stimulantia
1969 54歳
サボテンの花 Cactus Flower
1970 55歳
春の雨の中を A Walk in the Spring Rain
1973 58歳
クローディアと貴婦人 From the Mixed-Up Files of Mrs. Basil E. Frankweiler
1974 59歳
オリエント急行殺人事件
アカデミー賞助演女優賞受賞
1976 61歳
ザ・スター A Matter of Time
1978 63歳
秋のソナタ Höstsonaten
1982 67歳
ゴルダと呼ばれた女 A Woman Called Golda (TV)
エミー賞主演女優賞
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