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ジャイアンツ Giant 1956 |キャスト・あらすじ【ネタバレ】

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荒野の野望、愛の地平線。テキサスの風に刻まれた、富と誇りを巡る家族の戦記。

伝統ある牧場主ベネディクト家を舞台に、時代の波に翻弄されながらも逞しく生きる人々を描く群像劇。

東部から嫁いだ妻レズリーが直面する、古き良き西部の因習と人種偏見。そして、石油によって一夜にして富を築いたかつての使用人ジェット・リンクの野望が、一家の運命を激しく揺さぶっていく。

テキサスの乾燥した風と石油の匂いが漂う、アメリカ映画史に燦然と輝く壮大な叙事詩。

ジャイアンツ
Giant
(アメリカ 1956)

[製作] ジョージ・スティーヴンス/ヘンリー・ジンスバーグ
[監督] ジョージ・スティーヴンス
[原作] エドナ・ファーバー
[脚本] フレッド・ギオール/アイヴァン・モファット
[撮影] ウィリアム・C・メラー
[音楽] ディミトリー・ティオムキン
[ジャンル] ドラマ
[受賞] アカデミー賞 監督賞

キャスト

エリザベス・テイラー
(レズリー・リントン)

ロック・ハドソン
(ジョーダン・‘ビック’・ベネディクト)

ジェームズ・ディーン
(ジェット・リンク)

キャロル・ベイカー
(ラズ・ベネディクト2世/次女)

ジェーン・ウィザース (ヴァシティ・スナイス)
チル・ウィリス (バウリー・ベネディクト叔父)
マーセデス・マッケンブリッジ (ラズ・ベネディクト)

デニス・ホッパー
(ジョーダン・’ジョーディ’・ベネディクト3世/長男)

サル・ミネオ
(アンヘル・オブレゴン2世/使用人の息子)

ロッド・テイラー
(サー・デヴィッド・カーフリー)

ジュディス・イヴリン (ナンシー・リントン夫人)
アール・ホリマン (ボブ・デイス)
ロバート・ニコルズ (ピンキー・スナイス)
ポール・フィックス (Dr.ホーレス・リントン)
アレクサンダー・スコービー (ポロ老人/牧童頭)
フラン・ベネット (ジュディ・ベネディクト/長女)
チャールズ・ワッツ (オリヴァー・ホワイトサイド判事)
エルザ・カルデナス (フアナ・ゲラ・ベネディクト/ジョーディの妻)
キャロライン・クレイグ (レイシー・リントン/レズリーの妹)
モンテ・ヘイル (ベール・クリンチ)
シェブ・ウーリー (ゲイブ・ターゲット)
メアリー・アン・エドワーズ (アダレン・クリンチ)
ヴィクター・ミラン (アンヘル・オブレゴン/使用人)
ミッキー・シンプソン (サージ)
ピラール・デル・レイ (オブレゴン夫人)
モーリス・ジャラ (グエラ医師)
ノリーン・ナッシュ (ロナ・レーン)
レイ・ウィットリー (ワット)
ナポレオン・ホワイティング (ジェファーソン・スウェイジ)


受賞・ノミネートデータ

受賞年部門結果
1957第29回アカデミー賞監督賞(ジョージ・スティーヴンス)受賞
1957第29回アカデミー賞作品賞/主演男優賞(2名)/助演女優賞ほかノミネート
1957第14回ゴールデングローブ賞作品賞(ドラマ部門)ノミネート

評価

エドナ・ファーバーのベストセラー小説を、巨匠ジョージ・スティーヴンス監督が3時間を超える長編として映画化した文芸大作です。単なる成功物語に留まらず、当時のアメリカが抱えていた人種差別問題や、男性優位社会への批判を内包した深い社会性が高く評価されました。

ロック・ハドソンとジェームズ・ディーンの対照的な男の生き様、そして物語の核となるエリザベス・テイラーの気高い美しさが、カラー映画黄金時代の贅沢な映像美の中で見事に結晶しています。


あらすじ:テキサスの風、変わりゆく運命

テキサスで広大な牧場を経営するビック(ロック・ハドソン)は、東部から勝気な女性レズリー(エリザベス・テイラー)を妻に迎える。慣れない土地の風習に戸惑いながらも、レズリーは持ち前の正義感で、メキシコ人労働者への差別に異を唱え、一家の中で存在感を強めていく。

一方、一家に雇われていたひねくれ者の若者ジェット・リンク(ジェームズ・ディーン)は、ビックの姉から譲り受けたわずかな土地で石油を掘り当て、莫大な富を手にする。牧畜から石油へと時代が移り変わる中、成金となったジェットの野望と執着は、ベネディクト家を、そして彼自身を破滅的な愛憎の渦へと巻き込んでいく。


時は流れ、老境に差し掛かったビックは、メキシコ人女性と結婚した息子や、孫たちの存在を通じて、かつての頑なな偏見を捨てていく。一方、石油王として頂点に立ったジェットだったが、その心は孤独に蝕まれ、レズリーへの届かぬ想いを抱えたまま、祝賀会の会場で酔い潰れて醜態をさらす。

ラスト、ビックは差別的な食堂の主人と殴り合い、敗れながらも誇りを守り抜く。家に戻った彼を、レズリーは「私のヒーロー」と称え、二人の前には異なる人種をルーツに持つ二人の孫が並んでいる。伝統に縛られた巨像(ジャイアント)たちが去り、新しい時代が始まる予感と共に物語は幕を閉じる。


エピソード・背景

  • ジェームズ・ディーンの遺作と伝説
    撮影終了直後、自身の主演作『理由なき反抗』の公開を待たずしてこの世を去ったジェームズ・ディーンにとって、本作は最期の作品となりました。若き日の屈折した青年から、白髪混じりの孤独な富豪までを演じ切った彼の演技は、死後、二度目となるアカデミー主演男優賞ノミネートという異例の評価を受けました。
  • エリザベス・テイラーの女優としての覚醒
    それまでの「絶世の美女」という枠を超え、若妻から慈愛に満ちた祖母までを30年のスパンで演じ分けた彼女の演技力は、批評家たちから絶賛されました。撮影中に親友であったジェームズ・ディーンの訃報を聞き、深い悲しみの中にありながらもプロとして撮影を続けたエピソードは有名です。
  • ロック・ハドソンの熱演と変容
    ワーナーの二枚目スターであった彼は、本作で頑固で保守的なテキサス男を重厚に演じ、俳優としてのキャリアを大きく飛躍させました。彼もまた、ディーンと共にアカデミー主演男優賞にノミネートされ、一世を風靡したスターとしての実力を証明しました。
  • ディミトリ・ティオムキンの壮大なテーマ
    西部劇の神様とも呼ばれるティオムキンによる音楽は、テキサスの広大な風景を象徴するような雄大さと、一家の歴史を物語る叙情性を併せ持っています。特にメインテーマは、アメリカのフロンティア・スピリットを体現する楽曲として、今もなお多くの人々に親しまれています。
  • 徹底したリアリズムへのこだわり
    ジョージ・スティーヴンス監督は、テキサスの強い日差しや乾燥した質感を出すため、ロケ地での撮影にこだわりました。また、劇中に登場する巨大な屋敷(ヴィクトリア様式の邸宅)は、荒野の中にポツンと立つ異質さを出すためにわざわざ建設されたもので、視覚的な象徴として強烈な印象を残しました。
  • 人種問題への勇気ある踏み込み
    当時のハリウッド映画としては非常に珍しく、メキシコ系住民への差別を真正面から描きました。ビックが最後に自分たちの孫のために、差別主義者と戦うシーンは、当時の観客に「真の強さとは何か」を問いかける強いメッセージとなりました。

まとめ:作品が描いたもの

本作は、広大なテキサスの開拓史を背景に、富の蓄積、家族の愛、そして克服すべき人種間の壁を、三十年の時の流れの中に力強く総括した文芸映画の最高到達点でした。ジョージ・スティーヴンス監督は、三人のスター俳優の個性を最大限に引き出し、変わりゆく時代の中で人間がいかに成長し、何を次世代に遺すべきかを重厚に描き出しました。

古き良き西部の終わりと、新しいアメリカの誕生を予感させる本作は、ハリウッド黄金時代における叙事詩映画の傑作として記録されています。


〔シネマ・エッセイ〕

どこまでも続くテキサスの地平線に、黒い石油が噴き上がる瞬間。あの光景は、富への渇望と同時に、平和な時間が終わる予兆のようにも見えます。ジェームズ・ディーン演じるジェット・リンクが、全身に油を浴びて狂喜乱舞する姿には、報われない孤独を抱えた男の、悲痛なまでの叫びが宿っています。

エリザベス・テイラー演じるレズリーが、保守的なビックに対して決して信念を曲げず、次第に彼を変えていく姿には、女性の強さと慈愛が満ちています。二人の髪に白いものが混じる頃、かつての喧嘩が懐かしい思い出に変わっていく時間の重みが、観る者の心に静かに降り積もります。

「ジャイアンツ(巨像)」とは、広大な土地のことなのか、あるいはかつての価値観に固執した大人たちのことなのか。映画の最後、孫たちの瞳を見つめるビックの優しい眼差しに触れるとき、私たちは過去を乗り越え、より善い未来を信じようとする人間の気高さに触れるのです。三時間を超える旅を終えた後、テキサスの夕陽のような、深く長い余韻に包まれる名作です。

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