タクシードライバー
Taxi Driver
(アメリカ 1976)
[製作] ジュリア・フィリップス／マイケル・フィリップス／フィリップ・Ｍ・ゴールドファーブ
[監督] マーティン・スコセッシ
[脚本] ポール・シュレーダー
[撮影] マイケル・チャップマン
[音楽] バーナード・ハーマン
[ジャンル] ドラマ／スリラー／クライム
[受賞]
英国アカデミー賞 音楽賞／新人賞＆助演女優賞（ジョディ・フォスター）
カンヌ映画祭 グランプリ
LA批評家協会賞 主演男優賞（ロバート・デ・ニーロ）／音楽賞
全米批評家協会賞 主演男優賞（ロバート・デ・ニーロ）／監督賞／助演女優賞（ジョディ・フォスター）
NY批評家協会賞 主演男優賞（ロバート・デ・ニーロ）
キャスト
ロバート・デ・ニーロ （トラヴィス・ビックル）
シビル・シェパード （ベッツィ）
ピーター・ボイル （ウィザード）
アルバート・ブルックス （トム）
ジョディ・フォスター （アイリス）
レナード・ハリス （チャールズ・パランタイン）
ハーヴェイ・カイテル （スポート）
マーティン・スコセッシ （通行人）
ストーリー
「タクシードライバー」は、マーティン・スコセッシ監督によるアメリカの心理ドラマで、ロバート・デ・ニーロが主演を務める。この作品は、ポール・シュレイダーの脚本によって、ニューヨークの闇と孤独、そして狂気を描いた名作であり、映画史に残る傑作として広く評価されている。
物語の主人公は、トラヴィス・ビックル（ロバート・デ・ニーロ）という元海兵隊員で、ベトナム戦争から帰還後、ニューヨークでタクシードライバーとして働いている。トラヴィスは不眠症に悩まされ、夜な夜なタクシーを走らせながら、街の闇と腐敗を目の当たりにする。
トラヴィスは、夜のニューヨークの汚職や犯罪、売春などに嫌悪感を抱き、次第にその腐敗を一掃したいという強い思いに駆られる。彼の心の闇は次第に深まり、孤立感と怒りが増幅していく。そんな中、彼は大統領候補の選挙スタッフであるベッツィ（シビル・シェパード）に出会い、彼女に強い関心を抱く。
一方で、13歳の売春婦アイリス（ジョディ・フォスター）との出会いも彼の心に大きな影響を与える。アイリスを救い出すことが、彼の使命感をさらに強くする。トラヴィスは次第に狂気に駆られ、自らの手で街を浄化しようとする計画を立て始める。
エピソード
「You talkin’ to me?」の即興：
トラヴィスが鏡の前で自分に話しかけるシーンでの「You talkin’ to me?」というセリフは、ロバート・デ・ニーロの即興によるものである。このセリフは映画史に残る名セリフとなり、多くの人に模倣されるようになった。
ジョディ・フォスターの年齢：
アイリスを演じたジョディ・フォスターは、撮影当時わずか12歳であった。彼女の年齢が問題となり、特定のシーンでは彼女の姉がスタントとして出演した。
バーナード・ハーマンの遺作：
映画の音楽を担当したバーナード・ハーマンは、本作が遺作となった。彼のスコアは映画の不安定な雰囲気を効果的に補完しており、その音楽は高く評価されている。
実際のニューヨークの風景：
映画の撮影は実際のニューヨーク市で行われ、当時の都市の暗く荒廃した様子がリアルに描かれている。特にタイムズスクエア周辺のシーンは、1970年代のニューヨークの雰囲気を色濃く映し出している。
ポール・シュレイダーの脚本：
脚本家ポール・シュレイダーは、自身の孤独感と絶望感からインスピレーションを得て、この物語を執筆した。シュレイダーの個人的な体験が、トラヴィスのキャラクターと物語全体に深い影響を与えている。
トラヴィスのモヒカンヘア：
クライマックスでトラヴィスがモヒカンヘアに変えるシーンは非常に印象的で、彼の心の変化と決意を象徴している。このヘアスタイルはデ・ニーロ自身のアイデアであり、その後、多くの作品でオマージュされることとなった。
撮影中の銃撃音：
映画のクライマックスシーンでは、実際の銃撃音を録音するために、本物の銃が使われた。これにより、リアルな音響効果が得られた。
実際のタクシードライバー体験：
ロバート・デ・ニーロは役作りのために、数週間ニューヨークのタクシードライバーとして働いた。この経験が、彼の演技にリアリティを与えた。
カメラワークの工夫：
スコセッシ監督は、トラヴィスの視点を強調するために、斬新なカメラワークを多用した。特に、トラヴィスが鏡を見るシーンでは、カメラを鏡に向けて撮影することで、彼の内面世界を表現している。
「タクシードライバー」は、ロバート・デ・ニーロの圧倒的な演技とマーティン・スコセッシの卓越した演出が融合した名作であり、都市の孤独と狂気を見事に描き出している。この映画は、人間の内面に潜む暗闇と、それに立ち向かうことの難しさを観客に深く考えさせる、映画史に残る傑作である。
コメント