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昼下りの情事
Love in the Afternoon
(アメリカ 1957)
[製作] ビリー・ワイルダー
[監督] ビリー・ワイルダー
[原作] クロード・アネ
[脚本] ビリー・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド
[撮影] ウィリアム・C・メラー
[音楽] フランツ・ワックスマン
[ジャンル] 恋愛/ドラマ
キャスト
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ゲイリー・クーパー
(フランク・フラナガン)
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オードリー・ヘプバーン
(アリアーヌ・シャヴァシー)
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モーリス・シュヴァリエ
(クロード・シャヴァシー)
ヴァン・ドゥード (ミシェル)
ジョン・マクガイヴァー (ムシューX)
ライズ・ブールダン (マダムX)
概要
『昼下りの情事』(Love in the Afternoon)は、1957年公開のロマンティック・コメディ映画。監督はビリー・ワイルダー、主演はゲイリー・クーパー、オードリー・ヘプバーン、モーリス・シュヴァリエ。パリを舞台に、若い音楽学生と年上のプレイボーイが繰り広げる甘くも切ないラブストーリーが描かれる。ワイルダーらしいウィットに富んだ会話と、パリの優雅な雰囲気が魅力の作品。
ストーリー
パリで父と二人暮らしをするアリアーヌ(オードリー・ヘプバーン)は、音楽を学ぶ純粋な女子学生。彼女の父クロード・シャヴァス(モーリス・シュヴァリエ)は私立探偵で、浮気調査を専門にしている。ある日、父が手掛ける案件の一つに、アメリカの大富豪フランク・フラナガン(ゲイリー・クーパー)が関わっていることを知る。フラナガンはプレイボーイとして名を馳せ、数々の女性と浮き名を流してきた男だった。
ある晩、クロードの依頼人である嫉妬深い夫が、フラナガンを撃とうとしていることを知ったアリアーヌは、衝動的に彼を助けようとホテルに駆け込む。彼女は夫に対して「自分がフラナガンの愛人だ」と嘘をつき、その場を収める。フラナガンは彼女の機転に興味を持ち、昼下りの秘密の逢瀬を重ねるようになる。
フラナガンはアリアーヌの素性を知らず、彼女は「多くの恋人を持つ奔放な女性」であるかのように装い、彼の好奇心を刺激する。純粋でありながらも神秘的な彼女に、フラナガンは次第に惹かれていく。しかし、年齢も境遇も違いすぎる二人の関係には、どこか儚い影が落ちる。
クロードは娘がフラナガンと関係を持っていることを知り、彼に対して「娘は君が思っているような女ではない」と告げる。真実を知ったフラナガンは動揺するが、アリアーヌへの想いを断ち切ることができない。そして、彼女が乗る列車の発車直前、フラナガンは彼女を追いかけ、二人は一緒に旅立つことを決意する。
エピソード
ゲイリー・クーパーの年齢問題
当時55歳だったクーパーと、28歳のヘプバーンの年齢差が話題に。クーパー自身も「私はオードリーの父親役のほうが似合っている」と冗談を言っていた。
モーリス・シュヴァリエのユーモア
彼の探偵役は、フランスらしいシニカルなユーモアが加わり、作品の雰囲気を軽やかにした。
映画の原作
原作はクロード・アネの小説『Ariane, jeune fille russe』で、舞台をパリに変更して映画化。
ヘプバーンの衣装
本作の衣装もジバンシィが手掛け、彼女のエレガントな魅力を際立たせた。
ホテル・リッツでの撮影
フラナガンが滞在するホテルのシーンは、実際のパリの高級ホテル・リッツで撮影された。
ワイルダーのユーモア
映画のタイトル『Love in the Afternoon』は、フランスの恋愛文化にちなんだもの。
音楽の使い方
主題曲「Fascination」は、映画のロマンチックな雰囲気を象徴する重要な役割を果たした。
オードリーのピュアな演技
アリアーヌの純粋さと小悪魔的な魅力を両立させるため、ワイルダーは細かい表情指導を行った。
フラナガンのキャラクター造形
クーパー演じるフラナガンは、ワイルダーの過去作『サンセット大通り』のウィリアム・ホールデンと同じく、「老練なプレイボーイが若い女性に惹かれる」設定。
ヘプバーンとクーパーの関係
クーパーはヘプバーンの大ファンで、撮影現場では彼女を「リトル・プリンセス」と呼んでいた。
シュヴァリエのナレーション
物語の語り手を担い、軽妙な語り口で映画を彩った。
パリの美しい映像
セーヌ川沿いのロケーションが、映画にロマンティックな雰囲気を与えた。
ゲイリー・クーパーの健康問題
撮影中、クーパーは体調を崩しており、アクションの少ない演出がなされた。
ラストシーンの撮影
ワイルダーは「ロマンチックすぎず、リアリティを持たせる」ことにこだわり、何度も撮り直した。
ヘプバーンの即興演技
彼女がフラナガンに嘘をつくシーンでは、即興で愛嬌たっぷりに演じた。
フランス公開時の反応
フランスでは特に好評を博し、シュヴァリエの人気が再燃した。
ワイルダーとヘプバーンの再共演
二人は後に『パリで一緒に』(1963)でもタッグを組んだ。
トリュフォーの評価
フランソワ・トリュフォーは「ワイルダーの最もエレガントな映画のひとつ」と称賛した。
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