海の征服者
The Black Swan
(アメリカ 1942)
[製作] ロバート・バスラー
[監督] ヘンリー・キング
[原作] ラファエル・サバティーニ
[脚本] ベン・ヘクト/シートン・I・ミラー
[撮影] レオン・シャムロイ
[音楽] アルフレッド・ニューマン
[ジャンル] アドベンチャー/ファミリー/恋愛
[受賞] アカデミー賞 撮影賞
タイロン・パワー
(ジェイミー・‘ジェイミーボーイ’・ウォーリング)
モーリン・オハラ
(マーガレット・デンビー)
レアード・クリーガー (サー・ヘンリー・モーガン)
トーマス・ミッチェル (トミー・ブルー)
ジョージ・サンダース
(ビリー・リーチ船長)
アンソニー・クイン
(ウォーガン)
ジョージ・ズッコ (デンビー卿)
『海の征服者』は、1942年に公開されたアメリカのアクション・アドベンチャー映画。監督はヘンリー・キング、主演はタイロン・パワーとモーリン・オハラ。17世紀のカリブ海を舞台に、海賊たちの冒険とロマンスを描いたこの作品は、鮮やかなテクニカラー映像と豪華な衣装で観客を魅了した。ヘンリー・デ・ヴィア・ステイプルトンの同名小説を原作としている。
物語は、イングランドとスペインの戦争が終わり、イングランド王が海賊に恩赦を与えるところからスタート。かつて恐れられた海賊キャプテン・ジェイミー・ワイン(タイロン・パワー)は、新しい総督ヘンリー・モーガン(ラッド・ウィリズ)の指揮下で、カリブ海の秩序を回復するために奔走することになる。
ワインは、彼の元恋人であるレディ・マーガレット・デンビー(モーリン・オハラ)の住むジャマイカに向かうが、彼女は彼を信用せず冷たくあしらう。マーガレットはワインの過去を知っていて、彼が本当に変わったのか疑いの目を向ける。
中盤では、ワインがマーガレットを無理やり自分の船「ブラック・スワン」に乗せ、彼女に対する愛情を隠しきれずにいる。海賊たちが陰謀を巡らし、ジャマイカを再び支配しようとする中で、ワインとマーガレットは危険な冒険に巻き込まれていく。海賊たちの裏切りや敵対するスペイン艦隊との戦いを経て、命を懸けた戦いが繰り広げられる。
テクニカラーの美しさ:
『海の征服者』は、当時の最新技術であるテクニカラーで撮影されていて、その鮮やかな色彩が大きな魅力。特に、海賊船やカリブ海の風景が印象的に描かれていて、視覚的な楽しさが満載だ。
アカデミー賞:
映画は第15回アカデミー賞で撮影賞(カラー部門)を受賞。この美しい映像が高く評価された。また、美術賞(カラー部門)と特殊効果賞にもノミネートされている。
タイロン・パワーの演技:
タイロン・パワーはキャプテン・ジェイミー・ワイン役で、そのカリスマ性と冒険心を存分に発揮。この役でさらに人気を高め、ハリウッドのトップスターとしての地位を固めた。
衣装デザイン:
映画の衣装は豪華で、特にモーリン・オハラが着たドレスは、当時のファッションに影響を与えた。衣装デザインは歴史的背景を反映していて、細部にまでこだわりが感じられる。
撮影場所:
映画の多くのシーンは、カリブ海に見立てたカリフォルニア州やフロリダ州で撮影された。特に、海賊船でのシーンや海戦シーンは、スタジオとロケーション撮影を組み合わせて行われた。
ヘンリー・キングの演出:
監督のヘンリー・キングは、アクションシーンの演出が得意で、特に海戦シーンや海賊同士の戦いを迫力満点に描いている。彼のおかげで映画全体が緊張感と興奮に包まれている。
原作と映画の違い:
映画は、ヘンリー・デ・ヴィア・ステイプルトンの同名小説を基にしているが、ストーリーが簡略化され、キャラクターの関係や結末が変更されている。
興行成績:
『海の征服者』は公開当初から商業的に成功し、第二次世界大戦中の観客にとってもエスケーピズムを提供する作品として人気を博した。
モーリン・オハラの挑戦:
撮影中、オハラは自らスタントをこなすことが多く、特に嵐のシーンや激しいアクションシーンでの彼女の演技は高く評価された。彼女は難しいシーンでもスタントマンを使うことを拒否して、自分の演技に誇りを持っていた。
撮影中の嵐:
映画のクライマックスで使われた嵐のシーンは、実際の悪天候を利用して撮影された。監督のキングは、自然の力を利用することで、シーンにリアリズムを加えようと考えたんだ。その結果、映画はよりダイナミックで迫力のある映像になった。
特殊効果の工夫:
当時の技術では限られた特殊効果を駆使して、海戦や嵐のシーンが作られた。特に、モデル船を使った撮影や、合成技術を駆使したシーンが印象的で、観客にリアリティを感じさせた。
豪華なプレミア上映:
映画の公開時、ハリウッドでのプレミア上映は非常に豪華なものになり、多くのスターが出席。このイベントは、映画の成功に向けた大々的なプロモーションの一環として行われた。
美術監督のこだわり:
美術監督は、17世紀のカリブ海の雰囲気を忠実に再現するために、船の装飾や衣装に細部までこだわった。特に、海賊船「ブラック・スワン」のデザインは、視覚的に非常に印象的だ。
タイロン・パワーの私生活:
当時、タイロン・パワーはハリウッドのプレイボーイとして知られており、彼の私生活に関するゴシップが頻繁に報じられていた。『海の征服者』の撮影中も、彼の私生活に関する噂が絶えなかったが、彼はそのような噂に動じることなく、プロフェッショナルに役を演じ切った。
『海の征服者』は、タイロン・パワーとモーリン・オハラの見事な演技、豪華な衣装、そしてテクニカラーによる鮮やかな映像美が際立つアクション・アドベンチャー映画。ヘンリー・キングの緻密な演出が、17世紀のカリブ海を舞台にした海賊たちのスリリングな冒険を生き生きと描き出している。
タイロン・パワーとモーリン・オハラの演技は素晴らしく、アクションシーンの演出は非常に効果的で、剣術や海賊同士の戦いには手に汗握るスリルがある。
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